出展者特集

髙田織物株式会社

伝統的織物である畳の縁を
どう新しくしていくか?
条件の中でプロダクトアウトできる強みで
伝統文化を再定義していく。

畳縁 kojimaberi(細巾織物) 【髙田織物株式会社】岡山

岡山駅から南へ電車で20分。倉敷市児島の地に髙田織物はあります。ここで製造されているのは畳縁(たたみべり)。
文字通り畳の縁に使われている織物のことですが、近年では手芸やハンドメイドの分野でバックやポーチなどの様々な小物に使われる生地として注目されています。
自社でも畳縁を使用したプロダクトを製造・販売しており、その直売店“FLAT”の壁一面に並べられたカラフルでポップな畳縁の姿は圧巻。有名アパレルメーカーとのコラボも行っていると言います。長年積み重ねてきた伝統と近代的なポップさ。
そこには、ものづくりへの想いや新しいことへの挑戦がありました。

技術だけではない。
挑戦心も伝統として受け継がれてきた。

1890年頃に創業された髙田織物は、現在日本のシェア40%以上をもつ畳縁のトップメーカー。近年ではバックやポーチ、各種プロダクトの生地素材としても畳縁は注目されています。畳に使う素材と聞いて伝統的な和柄を想像するかもしれませんが、キャラクター柄やパステルカラーのデザイン、アパレルブランドのロゴのモノグラムなどそのデザインの幅はとても広いです。
代表取締役社長の髙田尚志さんは「素材の開発やプロダクトをつくることはもちろん面白いですが、それ以上に商品を手に取ったお客様の顔やリアクションを見るのが好きで、新商品をリリースするタイミング一番がワクワクするんです」と話してくれました。

商品開発で大切にしているのは、世の中を驚かせることができる商品なのか、見たことのない製品かどうか。この新しいことへ挑戦するスピリットは、機械化がされていなかった時代から変わっていないと言います。「当時描かれた畳縁のデザインを見ると、驚くほどに凝ったデザインが描かれていました。コンピューターのある現代ではなく当時の製造技術でこれを作るのは至難のわざだったと思います」。

歴史と経験に裏づいた挑戦で、
お客様の要望に応える。

「最近はお客様に鍛えられることが多いんです」と髙田さんは話します。
技術・品質面で難易度の高い案件に対し、限られた条件の中でいかにお客様の要望に近づけるかが、仕事をしていく上での鍵となります。
例えば細かなイラストレーションのようなデザインを求められれば、様々な織り方や色の糸を駆使して表現をしていきます。複雑なデザインの場合は糸を4重に織ることで表現の幅が広がります、しかしそれでは予算が合わない。
そこで3重に織ることで糸の投入量を減らし予算を抑えつつ3重織りでどこまで理想のデザインに近づけられるかに挑んでみる。そのようにお客様と4重にするか3重にするかの話を詰めていった経験も過去にあります。

耐久性と美しさ、予算のバランス。使用できる糸数が限られている中でお客様の要望にできるだけ近づけることができるのは、定番品を1,000種類以上持ち、色々な糸や素材を使って長年ものづくりを行ってきた歴史と経験があるからと言えるでしょう。
これまでの知見と新しい発想でギリギリの挑戦をする、それが髙田織物らしさです。

海外で高まる認知度。
伝統的日本文化の畳とともに伝わる。

クラフト素材としての需要は日本国内だけではありません。欧州を中心に世界で注目されている素材になっています。
まったく取引のなかったハンガリーのブタペストの酒屋で髙田織物の畳縁が使われた小物を見かけたと写真が送られてきたというエピソードも。意識しているのは“説明しやすく渡しやすいものを”ということ。海外から来て買ってもらう時のことより、お土産として誰かに渡す時のことの方を意識しています。
外国人の方々は、畳という製品自体は知っているので、渡したときに日本文化にまつわるストーリーを話せる点が畳縁のよいところ。海外ではクスリ入れや小物入れとして使われることが多いようです。

髙田織物では2013年からヨーロッパのイベントに数回出展しており、2015年にはフランスの“メゾン・エ・オブジェ”に出展。
その他にも手芸業界で有名なパリの老舗“ウルトラモッド”にも製品を置いているなど、多くの海外取引の実績があります。
「今回の出展を通じて、海外の生地を世界に流通させている企業の方がいれば一緒にプロジェクトを進めていきたい」最後にそう語ってくれました。

株式会社奥田又右衛門膏本舗

医薬品と違う形で
伝統薬・下呂膏を知ってもらうために。
日本文化や地域社会を盛り上げながら、
安全・環境に配慮した製品を世界へ。

楊貴肌玉せっけん 【株式会社奥田又右衛門膏本舗】岐阜

日本の貼り薬の原型と言われる“生薬が塗られた和紙の湿布”を唯一生産する伝統薬メーカー奥田又右衛門膏本舗。
こちらでは医薬品だけではなく、伝統的な生薬成分と医薬の技術を駆使したアロマシートや化粧水などの自然派化粧品群を開発しています。
紹介する楊貴肌玉せっけんは、下呂温泉の伝統薬である湿布“下呂膏”の生薬成分に着目し開発されたもの。
“玉羊羹”をイメージさせるぷるぷるとしたかわいい見た目が特長です。
今回、開発に至った経緯や事業で大切にしていること、海外展開や展示会へのスタンスなど様々な観点からお話を伺いました。

ぷるんっと楽しい、
漢方由来のカラフルな石けん。

この石けんの開発には2つの大きなポイントがあったと言います。
ひとつ目は、楽しい体験ができる石けんであるということ。この石けんは、つまようじで風船を割ってぷるんっと取り出して使うようにできています。お子さまに限らず大人でも楽しい気分を味わえるデザインです。
ふたつ目は、漢方由来のからだに優しい成分にこだわった点。多彩な色と香りのバリエーションが好評のこの石けんですが、防腐剤・合成色素・合成香料がフリー。このカラフルな色味は合成着色料を使って色づけされたものではなく、すべて漢方由来の色なのです。

楊貴肌玉せっけんは敏感肌を持つ人の悩みをきっかけに開発がスタートしました。
固形石けんを使いたいけれどもドロドロやぬるぬるが好きではない。ボディソープだと防腐剤が多く入っていて肌によくない。そんな悩みをお持ちの方にぴったりの商品です。
「医薬品と違った形で下呂膏を知ってもらうためにこの石けんをはじめとした自然派化粧品群を開発しています。私たちが残していかなくてはいけないものは伝統薬・下呂膏のよさ。そのことが伝われば嬉しいです」と代表取締役社長の日向靖成さんは語ってくれました。

ひとりだけでは何もできない、
つながりから製品は生まれる。

「商品開発だけではなく仕事をするにあたって大切にしていることがあります」。続けてそう語ってくれました。
「商品を開発する際、業種を問わず色々教えてもらいながら開発をしています。この石けんも同業者や開発者と一緒になってつくりあげたもの。
私だけではよいものをつくれないことはわかっているので、そのようなスタイルでやっています」。
ちなみに楊貴肌玉せっけんの“ひのき”は普通であれば使い道のない葉っぱの部分を使用して香りづけしています。
「普段から捨てるものがないか聞き回っている」と日向さんは笑って話してくれました。このアップサイクルも周囲に意見を聞きながら開発を行っているからこそ実現できたと言えるでしょう。

「ギフトショーでは取引先を見つけるだけではなく他の出展者とのつながりやアジア以外の方々がこの商品を手に取ってどういう反応をするのか、海外の潮流はどうなっているかなど、情報を得る場所にしたいとも考えています」。
人とのつながりを大切にしながら事業を進める企業であることを、話を通じて強く感じることができました。

安全性と環境。
意識の高い海外の方からの評価も高い。

製造は伝統薬を生産する工場で製薬と同等の工程管理が行われていますので、品質管理は徹底されており折り紙つき。
商品を入れている化粧箱は開封後に小物入れとして使え、再生PET100%のトレーは石けん置きとして利用できるよう環境にも配慮されています。
「安全や環境への意識の高い海外の方々にも納得していただけるものを目指しています」と日向さん。
下呂温泉にはアジア圏の観光客がよく訪れ、楊貴肌玉せっけんを含む“なごみシリーズ”はリピート購入されています。

日本在住の外国人有識者によって選出される“おもてなしセレクション”では、このシリーズが5年連続金賞を受賞している実績を見ても、海外の方々からの評価の高さが伺えます。
「私たちは歴史から学び、そこから新しい知識・見解を導く“温故知新”という言葉を大切にしています。
まさにこの商品はその集大成。
伝統薬メーカーとして蓄積してきた叡智で、今までになかった製品をと考えた結果です。これからも日本の伝統や地域社会を盛り上げながら、地球環境を考えた製品を世界へ届けていきたい」。
最後にそう語ってくれました。