2018

草履の未来への取り組みについてお話を伺った、専務取締役の軽部陽介さん(左)と、製造部部長の軽部聡さん(右)の写真

「中小企業総合展 in Gift Show」
出展企業:成功事例
#005久慈琥珀 【琥珀〈Amberlogue〉】岩手

「リファインド」という技術を使い、琥珀の可能性を広げる同社代表取締役社長の新田久男さん

商材の魅力をきちんと伝える
ブース設計で
琥珀の価値を高めると共に、
新規マーケットを切り開く

その輝きは、8500万年も前からの贈り物——。自然から生まれた宝石・琥珀は、樹木の樹脂が時間をかけて化石化したもので、二つとして同じものはありません。そんな琥珀の採掘から製造、販売までを一貫して行うのが、岩手県久慈市にある久慈琥珀株式会社です。今まで琥珀に興味のなかった人にどうしたら魅力を伝えられるのか。琥珀の可能性を探すべく、中小企業総合展in Gift Showへ出展。出展を重ねるうちに研ぎ澄まされていく「価値を届ける」方法。そして出展により大きな反響を得た同社に、成功のヒントを伺ってきました。

琥珀のさらなる可能性へ
65%を無駄にしない技術
「リファインド」。

2017年、同社初の展示会単独出展として中小企業総合展in Gift Showに出展し、その反響から2018年も続けて出展。年々大きな反響を得ているという久慈琥珀の大きな転機の1つは、「リファインド」という技術の確立だったと言います。

「久慈の琥珀は8500万年も前のもの。他の産地の琥珀よりも古く希少価値は高いものの、その分脆い。その為採掘してもそのまま商品化できるのが全体の35%で、残りの65%はヒビや亀裂が入り、そのままでは使えないんです」と教えてくださったのは、今回お話を伺った久慈琥珀株式会社代表取締役社長の新田久男さんです。

「自然から生まれた宝でもある琥珀を余すところなく形にしたい。なんとかしたいという思いが全てのスタートだった」と話す新田さん。研究に研究を重ねることで、琥珀のかけらを圧縮して形にするだけではなく、色や模様を調節することにも成功。商品を再結晶・蘇がえらせる技術を使う新しい商品シリーズ『Amberlogue(アンバーローグ)』ができたことで、展示会に挑戦してみようと思うようになったそうです。

久慈琥珀の原石。飴色にキラキラと輝いている

久慈琥珀の原石。飴色にキラキラと輝いている

ペンの持ち手になるという筒状の琥珀。これもリファインドで作られたものだ

ペンの持ち手になるという筒状の琥珀。これもリファインドで作られたものだ

ブランディングや売り方の
強化を経て生まれた
琥珀という素材への自信と、
魅せることへの追求

製品開発と並行して行ってきたのが、東北経済連合会や中小機構に力を借りて取組んだ商品ブランディングと売り方の強化だと言います。当時ディスプレイなどを任されていた同社の取締役事業統括部部長の下舘さつきさんは、「アドバイスを受ける中で、『琥珀は8500万年前のビンテージ』と言われました。その言葉に改めて、私たち自身が琥珀の魅力に気づくことができたんです。ディスプレイについても、いままではとにかくいっぱい置かないと売れないような気がして従来のアクセサリーケースにぎっちりと並べて見せていたんですが、商品の魅力をきちんと伝えるためにこのシリーズはゆとりを持った、ラグジュアリーというか目移りさせない展示方法に変えたんです。今でも空間が気になって何か置きそうになってしまうんですけどね」と笑って話します。

展示会に出る。その一つのアクションが、自身の商材の見せ方を考える、そんな思わぬ効果へと繋がっていきました。

新田さんとともに、展示会のことを振り返る下舘さん。数十年来の仲ということもあり二人の信頼は厚い

新田さんとともに、展示会のことを振り返る下舘さん。数十年来の仲ということもあり二人の信頼は厚い

一つ一つ手作業で形を作っていく。熟練のなせる技だ

一つ一つ手作業で形を作っていく。熟練のなせる技だ

四角く成形されたリファインドを、丁寧に丸く磨き上げていく

四角く成形されたリファインドを、丁寧に丸く磨き上げていく

展示会は出会いの場であり
チャレンジしていく場所

「Amberlogue」を提げ2017年に初めてGift Showに出展。売り方・見せ方が功を奏し、日本の大手ジュエリーショップから問い合わせが入り、のちに取引が始まりました。「バイヤーだけでなく、出展者同士の出会いもありました。『岩手の久慈琥珀って何を扱ってるんだろう』とブースに来られて、『実は琥珀が採れるんです。専用の工場があって…』と話すと、『実はうちはこういうものをやっていて何かご一緒できたらいいですね』と。こんな出会いも生まれるんだとワクワクしました」と下舘さんは初出展のことを振り返ります。

そして2018年の出展時には、アクセサリー類にプラスして、ジャパンブランドとしての琥珀の商品化も意識するようになります。「箸とかぐい飲みとか日本らしいものをさまざま作り出してきました。その中で印鑑もサンプルとして出したんですよ。そうしたら印鑑へのお問い合わせが非常に多くて。すぐに取引したいとおっしゃってくださったところが6社ほどあり2017年以上の反響でした。いろいろ試作を持って行っていたのでバイヤーの方たちの直接的な意見が聞けるというのが大きかったですね」と新田さん。

ブランドイメージに合わせて、1からつくった什器

ブランドイメージに合わせて、1からつくった什器

空間の“余白”を意識した展示

空間の“余白”を意識した展示

改めてどう伝えていくか
これからも続く勉強と挑戦

「そこまでやるのか…と正直思う時もあります(笑)。ただ、メッセージを変えたり展示方法を変えたりと、商品によってきちんと見せ方を考えていかないといけないんだなと、展示会に出展することで見せることに関する意識が本当に変わりました」と今もなお、勉強中と話す新田さんと下舘さん。

飽くなき研究と挑戦の声が聞こえて来る久慈琥珀。新たな魅力ある商品を届けてくれる、そんな未来を想像できる同社の取り組みに、これからも期待が高まります。

深く 柔らかな色をもつAmberlogue

深く 柔らかな色をもつAmberlogue

凛とした女性の自分らしいスタイル を演出します

凛とした女性の自分らしいスタイル を演出します

[企業DATA]

久慈琥珀株式会社

所在地
岩手県久慈市小久慈町19-156-133
創業
1982年
代表者
新田久男
事業内容
琥珀装飾品の製造加工ならびに販売、琥珀博物館の営業
URL
http://www.kuji.co.jp/
  • ナビゲーター : 中小機構 販路支援部 嶋田俊也
  • 取材・文 : スクーデリア 瀬上昌子

過去開催実績

  • 中小企業総合展 in GiftShow 2017
  • 中小企業総合展 in GiftShow 2016
  • 中小企業総合展 in GiftShow 2015
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